2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

今月のハルキ・ノベルス→[bk1][bk1][bk1][bk1] あーなんというか…ウズウズするラインナップ? (笑)

マックス・バリー『ジェニファー・ガバメント』[bk1]

絶賛したい。クリスピーな会話、コンパクトな章立て、ステロタイプながらもやたらと活きのいいキャラクター、読み始めたら最後まで頁を捲る手を止めさせる要素なんて無いのだけれども、普段なら映画化決定!の宣伝文句だけで全力で回避するタイプの作品であ…

ヘンリー・ミラー・コレクション 1 北回帰線[bk1]

書店で実物をみたときは、いや、びっくりした、ほんと。帯の裏側を見てまたびっくり。水声社のページにもある通り代表作をすべて新訳で…いやはや。とりあえず『マルーシの巨像』がホントうれしい。

デイヴィッド・マレル『一人だけの軍隊』[bk1]

「映像の世紀」視聴の余波でこれを読み返したくなって押入れを探すも、見つからず*1。 ポストヴェトナム物ではわりと好きなほうで、気分しだいでは冒険小説オールタイムベスト20くらいには入れちゃうかもしれない。安易に戦後のトラウマによる狂気や不条理に…

↓附記

.。oO( トム・フランクリンの書くところの男どもは多田由美描くところの男どもによく似ていて、直接的な描写はないけれど、どこかホモセクシャルっぽい相互依存関係が感じられた、ってのは付け加えておいていいと思うんですが…うーん )

トム・フランクリン『密猟者たち』[bk1]

沈鬱と畏怖を交えて美しく謳いあげられた自然と、死と暴力とそれに準ずるものを暗示しながら綴られる人々の生き様の、まさに南部ゴシック典型といえるこの短編群はそれにしてもすばらしい作品ばかりでちょっと興奮気味。特に冒頭の序文「ハンティング・シー…

e−hon予約コーナーより。 ・ドン・デリーロ『コズモポリス』新潮社 2月25日 2,000円 ・山田正紀『イノセンス THE NOVEL』徳間書店 2月16日 1,600円 あと堀田善衛の復刊もチェック。

BOOK CLIP新刊情報より。 ・ロバート・E・ハワード『ソロモン・ケイン 暗黒大陸の勇者』中央公論新社 2月25日 2,000円 おぉ涙が出そうです。あとステープルドンとテリー・ビッスンをチェック。

浦賀和宏『透明人間』[bk1]

浦賀和宏が描く物語をぼくはいつもイニシエーションの挿話として読んでいて、彼岸と此岸の際で幼年期を過ごしている少年少女が、ひとつの事件を契機にして今まで見えなかった世界のもうひとつの姿を見い出し、いやおうなく自身と世界との立ち位置を決定しな…

映像の世紀

ここしばらく、録画しておいた映像の世紀をずーっと見てました。そ−いうことで、まぁなんとなく積んであったジェイムズ・エルロイ『アメリカン・タブロイド』をちびちびと読み始めてます、そんな気分。『ホワイト・ジャズ』で疲れてしまって(笑)、以降のエ…

(昨日の続きをちょっとだけ)

…なによりも冒険小説に大切なのは、そこに危険が待っているとしてもなお目的に向かっていこうとする(主人公の)ロマンティシズムに満ちた意思の存在なのじゃないか、と一晩かけて考えたわけですが、そーすると一種の聖杯探索行でもある『羊をめぐる冒険』は…

清涼院流水『彩紋家事件 前編 極上マジックサーカス』[bk1]

全編サーカスマジックの事しか書かれていないのは…まぁともかく、説明的というか写実的というか描写が誠実すぎるというか、ショーが本来もっているはずのダイナミズムが一切感じられないのは致命的。言うなれば、オリンピックのオープニングセレモニーをTV中…

http://d.hatena.ne.jp/kosekei/20040117#1074356209

私的には、冒険小説というのはフィジカルな危機とそれを乗り越える肉体という構図を第一とするものと考えてます。雪山、砂漠、密林などを舞台にした秘境冒険譚がもっともプリミティブなかたちの冒険小説で、ただ交通の便の発展とともに秘境と呼ばれる場所が…

[銀河通信オンライン注目新刊速報]より ・2/20『バイティング・ザ・サン』タニス・リー/産業編集センター ・2/19『ギャングスターウォーカーズ』吉川良太郎/光文社カッパノベルス キタ━━━━━━━━━━(^∀^)━━━━━━━━━━!!

ブルース・スターリング『塵クジラの海』[bk1]

バンド・デシネの香りも漂う、異世界冒険ロマンの小品。クレーター内に溜まった分子大の塵の中の生態系、狂気を含んだ科学的探究心に憑かれた塵鯨漁船長、蝙蝠のような翅をもつフリークスと主人公の痛々しい性愛(なにせ、人間の汗や細菌に過剰に反応しちゃ…

『ファウスト Vol.2』…トム・ジョーンズって言ったって「恋はメキメキ」のあの人じゃないし、どこかでみた覚えがあるのだけれど、と思って検索→ISBN:4105344013。あー当時買おうと思ったものの金欠で見逃したきりそのままになってた本だ。すごく気になって…

bk1今日のオススメにポリー・ホーヴァート『みんなワッフルにのせて』[bk1]なんてのが挙がってた。けっこう興味津々なのでカゴに放り込んでおくことに。他の2冊は[bk1][bk1]…ドイルはともかく、なぜ談志!(笑)

山田正紀『サイコトパス』[bk1]

いつもどうりの山田正紀、現代思想のタームをファッションとして流用してメタフィクション的な趣向を施した思弁的なハッタリの強いサイコサスペンスの佳作です。圧巻だったのは最終章。そこで示される“動機の無い犯罪者”に対する『鏡の国のアリス』的な倒錯…

山本弘『神は沈黙せず』[bk1]

昨年末から少しづつ読んでたんですが、神の顔が出てきたあたりから一気読み、面白うございました。超常現象に対する安易な信仰を赤裸々に描くあたり、これは行動倫理の規範を自分自身の内部におかない人々を批判する、山本流『痴愚神礼讃』なのかとも思いま…

エドマンド・ホワイト『ジュネ伝』とロレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』を読み始めたとたん、頭痛と すごい 吐き気に襲われて何もできなくなる始末。まだふらふらですが、ハヤカワのプラチナ・ファンタジィ2冊で軽くリハビリ中。

『七姫物語 第2章』[bk1]

この作品、漢字が使われる東洋風の世界なのですが、ぼくの感じ取ったテイストはむしろヨーロピアン。それぞれに偽王として担ぎだされた七人の少女たちの、あたかもひとつの舞台劇のような、もしくはままごとのようなまつりごと/駆け引きの真ん中で、主人公空…

小泉義之『生殖の哲学』[bk1]

ナチズムにおけるような優生学を批判してるのにサイボーグとかクローンとかの生態改造テクノロジーを推奨してるのはなんじゃいな、とかおもって読んでましたが、冒頭にちゃんと“生-権力を一部の者に独占させるのではなく、万人のために奪取すること”*1と書い…

http://www.hayakawa-online.co.jp/ 早川書房2月刊行予定から 『チョーク!』 チャック・パラニューク セックス中毒の元医学生ヴィクターは、まだ会ったことのない父親を捜すべく、アルツハイマーの母親から話を聞きだそうと悪戦苦闘する。『ファイト・クラ…

機本伸司『神様のパズル』[bk1]

『メシアの処方箋』で感じた不満点はそのまま本書にも当てはまります。登場人物の成長するきっかけが、物語の本質的なテーマであるはずの“宇宙を作る”ことをめぐる議論とは別のところであったりとか、そもそも“宇宙を作る”ことをめぐる議論自体が曖昧であや…

[藤原編集室通信業務日誌1/7より] 午前中はステープルドン。わずか数十頁の間に、世界大戦がいくつも起きたり、世界がアメリカ化したり、全人類の混血化が進んだり、ついに終末戦争が勃発したかと思うと、火星人が攻めてきたり、と大変な本。(著者も云うと…

それでも機本伸司の1作目、青春小説っぽい『神様のパズル』[bk1]はちょっと期待して読み始める生業。積んでいた小泉義之『生殖の哲学』[bk1]も、ちょっとづつ読んでいく予定。

『メシアの処方箋』[bk1]

これも惜しい。ヒマラヤで方舟が発見されて研究に取り掛かるくだりは『星を継ぐもの』か『宇宙のランデヴー』という感じでわくわくさせるけれど、中に収められていた木簡にメシアの作り方が書かれていたということが割りとあっさり判明してしまうとサイエン…

『火星ダーク・バラード』[bk1]

ドラマがメロウすぎてぼくの好みからは外れるのですけど、それを抜きにしても、このこってりとした心理描写、舞台背景、回想などの筆致は、ハードサスペンスベースの、タイムスパンの短いノンストップエンターテインメントなプロットには似合わないんじゃな…

隆慶一郎

時代小説といえば捕物帳とかNHK大河ドラマとか、そーいうものしか思い浮かばなかったのは十数年前までの話。何がきっかけだったかすっかり忘れてしまったけれど柴田錬三郎『孤剣は折れず』『剣は知っていた』『運命峠』を立て続けに読んで、その滔々たるロマ…