『火星ダーク・バラード』[bk1]

ドラマがメロウすぎてぼくの好みからは外れるのですけど、それを抜きにしても、このこってりとした心理描写、舞台背景、回想などの筆致は、ハードサスペンスベースの、タイムスパンの短いノンストップエンターテインメントなプロットには似合わないんじゃないのかとは思います。心理描写を生かすのならば、タイムスパンを年単位ぐらいまで伸ばした堂々たるゴシックロマンタッチのもので読みたいですね。プロットを生かすならその速度を落とすような心理描写は可能なかぎり削って、いっそライトノベル風にパッケージングしたほうがいいのじゃないかなぁ。映像化すれば相当に興奮しそうな世界背景なのでいろいろと惜しい感じ。