ポール・J・マコーリイ『4000億の星の群れ』[ハヤカワ文庫SF/早川書房][bk1/amazon]

ラストに明かされるコズミック・ステップを踏んだハウダニット−頭上またたく4000億の星星を畏れるエイリアンチャイルドフッド−←はセンスオブワンダーを刺激する詩情を満たしてはくれるものの、異性でのサバイバル描写などテーマとの脈絡がかけている枝葉が多く、読んでてけっこう鬱陶しい。主人公がテレパスであることの設定がちょっとした銘探偵のひらめき程度にしか関わってこないところ、異星人の社会体系と主人公の家族背景の対比の仕方がお座なりであるところ等等、よけいなところを刈り取って短編にしてしまえば素直に愉しめたかもしれない。短編「遺伝子戦争」(『20世紀SF⑥1990年代』[bk1/amazon]収録)スーパードライなタッチで語られるジェネティックテクノロジー・ホットロッドに惚れた身としてはちょっと物足りない。とりあえずゴージャスなナノ/テクノ/ゴス/ファンタシィ『フェアリイ・ランド』の文庫化は希望したいところ。