版元ドットコムより
■■■:現代企画室 『子羊の頭』 フランシスコ・アヤーラ/丸田千花子訳 9/9 \2,625 ((1940〜50年代に書き綴られながら、作家の出身国=スペインでは、フランコの死から3年後、1978年にようやく出版されたアヤーラの短編集。「人びとの心の中の内戦」として展開した悲劇的なスペイン市民戦争の実相を、市井の庶民の内省と諦観と後悔の裡に描く。セルバンテス賞コレクション第4作。読書を通して、人は「自由に想像する世界」を獲得することができる。ドン・キホーテの狂気は騎士道小説の読みすぎに由来すると考えた司祭たちは、彼の書斎に火を放った。書斎の扉を壁で塞いで、書斎そのものを無きものにした。元気を回復したドン・キホーテは、騎士道小説を読もうと書斎に行くものの扉は見当たらず、彼は、かつて扉があったはずの場所を撫で回すだけだった――この稀有な人物を生み出した作家の名を冠したセルバンテス文学賞の受賞スピーチで、アヤーラは、「遍歴の騎士」ドン・キホーテにとって、この焚書こそ、彼が経験した数々の困難な冒険の中で、最も痛ましいものだと述べた))■■■:左右社 『評伝 梶井基次郎 視ること、それはもうなにかなのだ』 柏倉康夫 8/12 \6,615 ((梶井評伝の決定版! 31歳という短い生涯で『檸檬』をはじめとする数々の傑作短編を残し、いまも表現者に大きな影響を与える不世出の作家。その独自の感覚世界と人生に著者が25年の歳月をかけ全貌に迫る))
■■■:松籟社 『うつろ舟 ブラジル日本人作家・松井太郎小説選』 松井太郎/西成彦、細川周平編 8/13 \1,995 ((日本からブラジルに渡り、70余年。頑健な大地と格闘してきた老移民が、還暦を契機に小説の執筆を開始。遠く離れた故国の言語で刻み込むようにして作った物語は、いま日本国内で書かれ・読まれる小説とは異質の強さ、新鮮さをもつ――「すばる」'08年8月号で紹介され、大きな反響を呼んだ孤高の移民作家・松井太郎、その代表作を編んだ待望の作品集))