ケヴィン・ブロックマイヤー『終わりの街の終わり』

たとい死んでも、自分のことを知っている人が生きている限り、とどまることのできる街がある…という設定からはいろいろな思考実験ができそうなものだけどなあ、ちょっともったいないんじゃないかしらん。とは思ったものの、最後の人間として(知らないうちに)“街”の人びとの世界を背負う羽目になるローラの“現世”における生の、どこかアトラス神話を想起させる苦闘は沁みるものがある。