スザンナ・クラーク『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』

嫌味と皮肉を優雅と軽妙でユーモアに昇華させた筆致によって描かれた、傲慢、嫉妬、貪欲、独りよがり等々小市民的な人間的特性をもつ人物たちが織り成す、英国にかつて存在しそして失われてしまった“魔法”を復活させるこのタペストリは、たとえばジェイン・オーステインが『帝都物語』を書いたとすればこのようになるかもしれない。しっかりと読ませてじっくりと堪能できる、ゆっくりと愉しみたい傑作。年末年始にうってつけじゃないですかね、これは。