望月諒子『神の手』[bk1]

凄い。ふと気がつけば本の半ばすぎまで頁を捲っていて、目をつむったとたん思わず大きくため息が漏れてしまう。意思とは無関係に漏らしてしまったそのため息にまず驚き、そしてそれまで自分がずっと息を詰めていたことに気づかされてまた驚く。そもそも活字を目で追っているという感覚さえ忘れ、大きな存在にとり憑かれそれでもなお正気を失うことを許されなかった登場人物たちの情念を、そのまま記憶に焼き付けられたかのような気もする。少し目を休ませ、小用を足して、そのあとはもう最後まで目を離すことは出来ませんでした。
あらすじ、そのほかのことはこの熱い推薦文に目を通せばだいたいわかります。この小説の初登場が電子出版だったというのはやはり事件としか言いようがありません。6月と8月にも集英社文庫で作品が出るそうで、大注目。いやはやまいりました。