サイモン・クラーク『地獄の世紀』[bk1]

あっという間に読了。正味3時間もあれば上下巻読破できるリーダビリティの高さは評価できるが、“ある日突然20歳以上の大人がいっせいに子供たちを殺戮し始める”という趣向を除けば、ゾンビ物のヴァリエーションのひとつとしての枠を超えるものが何も無いのが残念。事態の原因への理由付け(仮説)は壮大であるけれど、その分物語の広がりを限定させてしまってるんじゃないだろうか。事態が手におえる範囲を超えてしまっているので、少年たちは世界に適応しサバイバルすること以外やれることがなくなってしまう。→ 誕生日を迎えて大人になってしまうとどうなるのか ←という問題点も“逃げた”感がある。良くも悪くも望月峯太郎ドラゴンヘッド』 を読み通したときと同じ印象でしょうか。いろいろ惜しい、しかしキル・タイム・エンタテインメントとしては文句なしの面白さです。スプラッタパンクと読んでも差し支えない悪趣味さは好み(笑)