本やタウン:文庫近刊情報より


岩波現代文庫 『骨餓身峠死人葛』 野坂昭如 1/16 \1,050 
岩波文庫 『情念論』 デカルト/谷川多佳子 1/16 \693 

ファミ通文庫 『ガーゴイルおるたなてぃぶ(4)』 田口仙年堂 1/30 \588 

角川スニーカー文庫 『アンダカの怪造学(8)Every DayDream』 日日日/エナミカツミ 1/1 \660 
角川ホラー文庫 『ロリータ』 大石圭 1/25 \650 
角川ホラー文庫 『蠅の王』 田中啓文 1/25 \960 
:角川文庫 『逢魔が源内』 菊地秀行 1/25 \683 
:角川文庫 『KIDS』 乙一/坂東賢治ほか 1/25 \500 
:角川文庫 『ばいばい、アース(4)今ここに在る者』 冲方丁 1/25 \840 

電撃文庫 『ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド』 上遠野浩平/緒方剛志 1/10 \599 

河出文庫 『こんな映画が、吉野朔実のシネマガイド』 吉野朔実 1/5 \893 
河出文庫 『須賀敦子全集(5)』 須賀敦子 1/5 \998 

講談社文芸文庫 『影について』 司修 1/10 \1,365 
講談社文芸文庫 『梅一輪・湘南雑筆(抄)』 徳冨蘆花作品集 徳冨蘆花/吉田正信 1/10 \1,260 
講談社文芸文庫 『壺坂幻想』 水上勉 1/10 \1,365 
講談社学術文庫 『哲学者ディオゲネス −世界市民の原像−』 山川偉也 1/10 \- 
講談社文庫 『ONE DOOR AWAY FROM HEAVEN(上)』 D・クーンツ/田中一江 1/16 \- 
講談社文庫 『ONE DOOR AWAY FROM HEAVEN(下)』 D・クーンツ/田中一江 1/16 \- 
講談社文庫 『旅をする裸の眼』 多和田葉子 1/16 \- 
講談社文庫 『鼠舞』 田中文雄 1/16 \- 
講談社文庫 『凱歌の後』 塚本青史 1/16 \- 
講談社文庫 『髑髏城の七人』 中島かずき 1/16 \- 
講談社文庫 『電波男』 本田透 1/16 \- 
講談社文庫 『ふしぎな図書館』 村上春樹/佐々木マキ 1/16 \- 

ランダムハウス講談社文庫 『1/2の埋葬(上)』 ピーター・ジェイムズ/田辺千幸 1/7 \893 
ランダムハウス講談社文庫 『1/2の埋葬(下)』 ピーター・ジェイムズ/田辺千幸 1/7 \861 
ランダムハウス講談社文庫 『夢の途上』 ラフカディオ・ハーンの生涯 工藤美代子 1/7 \777 

光文社文庫 『fの魔弾』 柄刀一 1/10 \- 
光文社文庫 『旧宮殿にて』 15世紀末、ミラノ、レオナルドの愉悦 三雲岳斗 1/10 \- 
光文社文庫 『屋上への誘惑』 小池昌代 1/10 \- 
光文社文庫 『死火山系』 水上勉 1/10 \- 
光文社文庫 『江戸川乱歩と13人の新青年 〈論理派〉編』 ミステリー文学資料館 1/10 \- 
光文社文庫 『恐怖の谷』 アーサー・コナン・ドイル/日暮雅通 1/10 \- 
:古典新訳文庫 『芸術の体系』 アラン/長谷川宏 1/10 \- 
:古典新訳文庫 『肉体の悪魔』 ラディゲ/中条省平 1/10 \- 

コバルト文庫 『マリア様がみてる キラキラまわる』 今野緒雪/ひびき玲音 12/26 \460 
■■■集英社文庫 『水滸伝(16)馳驟の章』 北方謙三 1/18 \-
■■■集英社文庫 『AMEBIC』 金原ひとみ 1/18 \-
■■■集英社文庫 『漢方小説』 中島たい子 1/18 \-
■■■集英社文庫 『頭の中がカユいんだ』 中島らも 1/18 \-

■■■ルルル文庫 『封殺鬼〜花闇を抱きしもの(下)』 霜島ケイ/也 12/26 \-
■■■ルルル文庫 『オーバーン城の夏(下)』 シャロン・シン/黒百合姫 12/26 \-
■■■ガガガ文庫 『Bullet Butlers(2)〜黒騎士は弾丸のごとく駆け抜ける〜』 東出祐一郎/中央東口 1/18 \-
小学館文庫 『ホット・キッド』 エルモア・レナード 1/7 \860 

新潮文庫 『隠蔽捜査』 今野敏 1/29 \580 
新潮文庫 『731』 青木冨貴子 1/29 \780 
新潮文庫 『かたみ歌』 朱川湊人 1/29 \500 
新潮文庫 『精霊探偵』 梶尾真治 1/29 \620 

■■■:villagebooks 『数独パズル殺人事件』 シェリー・フレイドン/田口俊樹 1/20 \893

ちくま学芸文庫 『カントの批判哲学』 ジル・ドゥルーズ/國分功一郎 1/9 \924 
ちくま学芸文庫 『存在と無(3)現象学存在論の試み』 ジャン=ポール・サルトル/松浪信三郎 1/9 \1,890 
ちくま学芸文庫 『日本の百年(5)成金天下』 今井清一 1/9 \1,575 
ちくま学芸文庫 『物理学に生きて巨人たちが語る思索のあゆみ』 W・ハイゼンベルク/青木薫 1/9 \945 
ちくま文庫 『名短篇、ここにあり』 北村薫/宮部みゆき 1/9 \798 
ちくま文庫 『フランクザッパ・ア・ラ・モード』 野中柊 1/9 \672 
ちくま文庫 『人生を<半分>降りる 哲学的生き方のすすめ』 中島義道 1/9 \735 

■■■:中公文庫 『世界史(上)』 ウィリアム・H・マクニール/増田義郎ほか 1/23 \1,600
■■■:中公文庫 『世界史(下)』 ウィリアム・H・マクニール/増田義郎 1/23 \1,600
■■■:中公文庫 『雛の家』 久世光彦 1/23 \900
■■■:中公文庫 『経験を盗め奥の深い生活・趣味編』 糸井重里 1/23 \680
■■■:中公文庫 『ルーマニア・マンホール生活者たちの記録』 早坂隆 1/23 \760
■■■:中公文庫 『ミステリ十二か月』 北村薫 1/23 \980

創元推理文庫 『影の棲む城(上)』 L・M・ビジョルド/鍛治靖子 1/上 \1,008 
創元推理文庫 『影の棲む城(下)』 L・M・ビジョルド/鍛治靖子 1/上 \1,008 
創元推理文庫 『黄色い部屋の謎【新版】』 ガストン・ルルー/宮崎嶺雄 1/中 \924 
創元推理文庫 『ルイザと女相続人の謎』 アンナ・マクリーン/藤村裕美 1/下 \1,092 
:創元SF文庫 『司政官 全短編』 眉村卓 1/下 \1,575 

:徳間文庫 『倚天屠龍記(1)呪われた宝刀』 金庸/岡崎由美 1/5 \840 
:徳間文庫 『倚天屠龍記(2)黒い刻印』 金庸/岡崎由美 1/5 \840 
:徳間文庫 『蒼き海の伝説 <新装版>』 西村寿行 1/5 \700 

:ハヤカワ文庫SF 『雄牛と槍』 マイクル・ムアコック/斉藤伯好 1/上 \1,239 
:ハヤカワ文庫SF 『反逆者の月(2)帝国の遺産』 デイヴィッド・ウェーバー/中村仁美 1/下 \987 
ハヤカワ文庫JA 『さくらインテリーズ』 戸樫圭太 1/上 \840 
ハヤカワ文庫JA 『シュレディンガーのチョコパフェ』 山本弘 1/上 \735 
:ハヤカワ文庫FT 『復活の予言』 レイモンド・E・フィースト/岩原明子 1/上 \777 
:ハヤカワ文庫FT 『ガーゴイルの誓い』 ピアズ・アンソニイ/山田順子 1/下 \987 
:ハヤカワ文庫NV 『チャイルド・コレクター(上)』 ザビーネ・ティースラー/小津薫 1/下 \840 
:ハヤカワ文庫NV 『チャイルド・コレクター(下)』 ザビーネ・ティースラー/小津薫 1/下 \840 
:ハヤカワ・ミステリ文庫 『アメリカン・スキン』 ケン・ブルーウン/鈴木恵 1/下 \882 
:ハヤカワ・ミステリ文庫 『イスタンブールの群狼』 ジェイソン・グッドウィン/和爾桃子 1/下 \945 
:ハヤカワepi文庫 『エデンの東(1)』 ジョン・スタインベック/土屋政雄 1/下 \840 
:ハヤカワepi文庫 『エデンの東(2)』 ジョン・スタインベック/土屋政雄 1/下 \840 
:ハヤカワ演劇文庫 『ウィリアム・サローヤン(1)』 ウィリアム・サローヤン/倉橋健 1/下 \714 

:文春文庫 『陰陽師 瘤取り晴明』 夢枕獏/村上豊 1/10 \630 
:文春文庫 『有栖川の朝』 久世光彦 1/10 \490 
:文春文庫 『永久凍土の400万カラット』 ロビン・ホワイト/鎌田三平 1/10 \1,050 
:文春文庫 『空中ブランコ』 奥田英朗 \500 1/10 
:文春文庫 『月読』 太田忠司 1/10 \860 

眉村卓の司政官全短編というのはすばらしい企画ではないですか。あと目玉は、凄愴なる幻想文学の金字塔とも言うべき『骨餓身峠死人葛』がリーズナブルなお値段で再登場すること。さて、ジョー・ヒルハートシェイプト・ボックスを、ため息と満足感とともに読み終わる。ハート型の箱に収められたスーツにこめられていた幽霊に憑かれた主人公の様子はまるで、板子一枚で大海に放り出されたかのような、寄る辺無く頼りの無く明けることの無い夜の旅でもあるかのようであり、ほんの少しの油断さえも霊の呼び水となって、いつ終わるともしれない重苦しい緊迫が押しよせてくる。その執拗にたたみ掛けてくる描写は筆致の映像性/現代性とは裏腹に、どちらかといえば古典的な英国式怪奇小説の正嫡の粘性をもっているといってもいいのではないかしらん。幾度も繰り返されてゆく憑霊描写を、確かな技術と力量によって成し遂げているそれからは、ムソルグスキーのクラシックをバンドサウンドに解釈し、3ピースでライヴをやってのけたバカテク三人衆EL&Pの“展覧会の絵”を思い出したりもした。いやなにはともあれかくも力強いホラー作家の誕生をまずは寿ぎたい。人目を引くようなけれんに頼らない、正々堂々の傑作。評判をとった短篇集の邦訳紹介が本当に待ち遠しい。