★究極映像研究所★より


洋泉社 『コーヒーブレイク、デイヴィッド・リンチをいかが』 滝本誠 6/25 \1,785 
虐殺器官』を読み終わる。これは“スケールをマーダーケースからホロコーストへと上げ、士郎正宗風の意匠を施した「CURE」(黒沢清)”であり、つまり「CURE」が傑作であるのと同じように『虐殺器官』も傑作であると言っていい。それ以上のことは好みの問題でしかないんじゃないのかな…というタチの悪い/スジの悪い第一感はまあ冗談にしておいて、もちろん“好みの問題でしかない”細部にこそこの小説の肝がある。痛み/悼みをめぐるスペキュレーションや紛争/虐殺を引き起こすテクノロジーの考察などには、かつての山田正紀に対して感じていた興奮が思い出された。改めて傑作と言っておきたい。あ、そうだ久しぶりにパスカルキニャールの『音楽への憎しみ』を読み返してみよう。