東京創元社近刊案内より


[単行本]
東京創元社 『遠い遠い街角』 井上雅彦 6/- \1,785 ((貸本屋、鉱石ラジオ、秘密基地……毎日が物語のようだった、遠く懐かしいあの時代。少年たちはいくつもの不思議に遭遇する。短編の魔術師が贈る、郷愁と怪異の連作短編集。))
東京創元社 『神話の島』 久綱さざれ 6/- \2,100 ((自分に妹がいた――その事実を知った少年は、かつて新興宗教の本部になっていた孤島に渡るが、そこで彼を待っていたのは疫病の恐怖と連続殺人だった。才媛が放つ大作登場!))

[文庫]
創元推理文庫 『サム・ホーソーンの事件簿〈V〉』 エドワード・D・ホック/木村二郎訳 6/- \1,113 
創元推理文庫 『快盗タナーは眠らない』 ローレンス・ブロック/阿部里美訳 6/- ¥798 
創元推理文庫 『007/薔薇と拳銃【新版】』 イアン・フレミング/井上一夫訳 6/- \777 
創元推理文庫 『三人目の幽霊』 大倉崇裕 6/- ¥798 
創元推理文庫 『ルピナス探偵団の当惑』 津原泰水 6/- ¥756 
創元推理文庫 『目黒の狂女』 戸板康二/日下三蔵編 6/- ¥1,575 
創元推理文庫 『ヘビイチゴサナトリウム』 ほしおさなえ 6/- ¥861 
創元推理文庫 『驚異の発明家(エンヂニア)の形見函〈上〉』 アレン・カーズワイル/大島豊訳 6/- \1,029 
創元推理文庫 『驚異の発明家(エンヂニア)の形見函〈下〉』 アレン・カーズワイル/大島豊訳 6/- \1,029 
創元推理文庫 『ギャラソームの戦士【新版】』 マイケル・ムアコック/井辻朱美訳 6/- ¥672 

『真夜中に捨てられる靴』のタイトルナンバーがアンソロジー『999』収録作「リオ・グランデ・ゴシック」の新訳改題版ということにいまさらながら気がついたので、あきらめて読了する。どの短編にも息子を失ってしまったことのオブセッションが横溢するグルーミートワイライトゾーン。で、ひきつづいて『グッド・オーメンズ』を読み続ける。やあプラチェットはやっぱりめちゃくちゃおもしろいね。今作では神話的要素のアドヴァイザーの役割を請け負った(であろうと推測される)ニール・ゲイマンの得手が神話/寓話の再築/再話とすれば(←だからドラマ的な要素をできるだけ排除した短編のほうが切れ味がいい)、テリー・プラチェットは宗教や人間的習性/習慣を揶揄/嘲笑するサタイアが持ち味だろう。悪気は無いけどすぐに安易に付いて考え無しに行動し結果的に物事を悪いほうへと導いていく人間の本質が、根源的に悲劇的なロクデナシであることを嫌味と皮肉が効いたシチュエーションとフレーズ等々愉快なファクターによる爆笑/微笑/苦笑の表層にくるんでちょいと洒落たコメディに仕立てあげるところは、さすがにモンティ・パイソンを抱くイギリス風というべきか。エラスムス、スウィフトの傍系といってもいいし、近々文庫版も出る伊坂幸太郎の『グラスホッパー』と近縁にあるといってもいい。それにしても人類どものどうしようもなさと比べて、天使、悪魔ほか超自然組の抜群のキュートさといったら。