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続いて早川書房2005年4月の新刊からチェック
原籙関連が2冊文庫で。エモーショナルで肉厚のドラマが好みのロバート・ウィルスンがでるのが超最高。ポケミスのベスト・アメリカン・ミステリ第2弾も注目。そして…(笑)ハンター・フルガムの『タフガイ用語の基礎知識』は『試すな危険!冒険野郎ハンドブック』[bk1]の第2弾。ブラのカップの測り方から、芝刈り機レースの必勝法、ガラガラヘビの料理法、唐辛子の辛さの単位まで、真の男が知っておくべき常識の数々を完全に網羅。男心をくすぐる知的武装バイブル…ってそれは常識で知的なのかという突っ込みはとさておき楽しみ。英国海軍海尉ジェラルドは、闘うのは嫌だが女好き−−かつてないアンチ・ヒーロー登場という『ドーバーの伏兵』も趣向は似たようなものかも。G・R・R・マーティン『タフの方舟 1守護者』のハヴィランド・タフだってアコギなヤシだし…っていうかマーティンの短編集ならもっと淡く暗くそれこそ幻想と怪奇のタッチの作品をリリースして欲しいのだけどまあそこはそれ出るだけでも万歳しておかないと。しかし『光の王』も品切れだったとは…サイエンスフィクションの一番格好いいでもちょっとクセの強い姿をみせてくれるのがゼラズニイだというのに、もう『わが名はコンラッド』[bk1]ぐらいしか手に入らないというのもつらい。いっそ月に1〜2冊なんてけちな事はやめて20冊ぐらいどーんといって欲しいものです、例えば角川がリバイバルコレクションを出したときみたいな感じで。『夜の大海の中で』とか『夢の蛇』とか草上仁の短編集とかロバート・シェクリイとかSF基礎知識がほとんど手に入らない現実はちょっと切ない。ジャック・ヴァンスの魔王子なんてオサレヘアーのアニメ版巌窟王の受けている隙を狙ってひょいと出したりしないかな、とか。あ、今本棚みたらロバート・ストールマンの野獣3部作が…これも忘れ去られるにはあまりにもったいない。
[単行本]
『夢幻紳士 幻想篇』 高橋葉介
『静寂のノヴァスコシア』 ハワード・ノーマン/栗木さつき訳
『恐るべき空白』 アラン・ムーアヘッド/木下秀夫訳
『タフガイ用語の基礎知識』 ハンター・フルガム/林雅代訳[HPB]
『ベスト・アメリカン・ミステリ/ジュークボックス・キング』 マイクル・コナリー編/古沢嘉通・他訳[文庫]
『ミステリオーソ』 原籙
『ハードボイルド』 原籙
『竜神の高僧』 デイヴィッド・エディングス/佐藤ひろみ訳
『ドーバーの伏兵』〈気弱な海尉ジェラルドの冒険〉 エドウィン・トーマス/高津幸枝訳
『帰ってきたミス・メルヴィル』 イーヴリン・E・スミス/長野きよみ訳
『セビリヤの冷たい目(上・下)』 ロバート・ウィルスン/田村義進訳
『死が二人をわかつまで』 ジョン・ディクスン・カー/仁賀克雄訳
『光の王』 ロジャー・ゼラズニイ/深町眞理子訳
『幻想と怪奇 おれの夢の女』 仁賀克雄・編
『タフの方舟 1守護者』 ジョージ・R・R・マーティン/酒井昭伸訳
『紐と十字架』 イアン・ランキン/延原泰子訳
…あ、実録探検物の最高峰『恐るべき空白』の復刊もあるんだっけ、っちうかコレも品切れナノカヨ! アリエナーイ!