サラ・ウォーターズ『荊の城』[bk1]

…第1部まで読む。掏摸を生業とする下町の意気のいい少女を語り手としていて、『半身』のように鬱屈していないのはともかく…この人の「女×女」描写はなんていうかあからさまに同性愛色が強い。結婚詐欺の片棒を担ぐために向かった先の城の令嬢とのふれあいはもちろんのこと、女性同士のコミュニケートの場面などはどれも繊細で秘めやかでたいそう甘ったるい。男どもの如何ともしがたいほどの胡散臭さとは実に対照的です。それはそうとして、第1部のラストは否が応でも続きを読みたくなる〆めかたなんですが…よく考えてみれば→ ここまでの物語の構図って『半身』とそっくりなんですね、主人公がころりと騙されちゃうところなんか ←。前作のような神秘的な雰囲気は無いものの、より時代小説/ゴシックロマンとして物語性が強まっている感じです。第2部はちょっと読んでみたところ結婚詐欺を仕掛けられる側の令嬢の視点で話が進む模様、変態チックなシチュエーションが期待されます(笑)。