いっそ4月1日に大絶賛の感想を書いてしまおうか…といささか不埒なことを考えてしまうリチャード・モーガン『オルタード・カーボン』読了。自身の記憶を丸ごとメモリにストックすることが当たり前のようにできるようになった社会のたとえば倫理観/世界観/宗教問題/法整備云々ってのは今現在とはまったく違ってくるのが当然のはずで、そのことに一切の気を配っていない世界体系にひたすら萎える。田口俊樹が訳を手がけるというので少しは期待していたハードボイルドとしての味もない。事件のナゾは結構手が込んでいるので、ハリウッドテイストの取ってつけたようなアクションシーンを全部引っぺがしてダイエットすれば『ホログラム街の女』とか『ナイト・サイド・シティ』のようなちょっと拾い物のエンタテインメントになったかもしれない…そう考えると結構慰めにはなるかも。第5部冒頭のあまりにベタなダメ展開は首をガクンと下げて失笑してしまいましたのこと。まあ、苦あれば楽ありで続いて読み始めた『アグレッサー・シックス』がめちゃくちゃに面白い。カヴァーや粗筋紹介からは特殊部隊戦闘SFを思わせるけれど全然違う。異星人のライフスタイルをトレースすることによるグロテスクな意識の変容を描いているといえばいいのか…とにかくあっという間に半分読み終わる。