トム・ロブ・スミス『チャイルド44』*1

今年、もしこれ以上に面白い作品が出るとしたら、年末ランキング戦線はずいぶん賑やかなものになるんじゃないかな。『闇の奥へ』(クレイグ・トーマス)を思い出させる緊張感を持った冒険小説ではあるのだけれど、むしろ、人間的存在の意義を乱す“精神異常におちいった国家”を“犯人”とした(広義の)サイコ・サスペンスと言ってみたくもなる。