本やタウン:書籍近刊情報より
文学嗜好のつよいある人がSF作家にむかって言った「SFを色々読んでみましたがほとんどはクズじゃないですか」という言葉に対して、SF作家は「SFに限らずすべてのジャンルにおいて90%はクズだ」と返したと言われている。これが巷間ひろく伝わってしまったいわゆる“スタージョンの法則”と呼ばれているフレーズなのだけれど、このあまりにも選良志向の厭な臭いのする語感にスタージョンの名が冠されてしまっている事に対する苛立たしさというものを、この言葉を眼にするたびにぼくはいつも感じている。いぜん別の場所でも書いたことがあるのだけど、スタージョンはこの“スタージョンの法則”と呼ばれているフレーズ続けて「…だけど僕はそのクズを愛しているんだ」と言ったということをけして忘れるべきでないと思うのだ。
[単行本]
■■■:青山出版社 『ツォツィ』 アソル・フガード/金原瑞人ほか訳 4/2 \1,575 ((06年アカデミー賞外国語映画賞受賞作品「ツォツィ」の原作。世界的劇作家による不良少年と赤ん坊の出逢いを描いた感動小説。))■■■:イースト・プレス 『不健全な精神だって健全な肉体に宿りたいのだ(3)』 菅野彰 4/上 \1,260
■■■:岩波書店 『落花流水』 渡辺千萬子 4/10 \1,785 ((40年余りの封印を解いて語る晩年の文豪とその家族の物語。谷崎潤一郎宛未発表書簡21通を付す。))
■■■:岩波書店 『ヒトと機械のあいだ ヒト化する機械と機械化するヒト』 廣瀬通孝編 4/24 \2,520
■■■:岩波書店 『ロシアの連邦制と民族問題 多民族国家ソ連の興亡(3)』 塩川伸明 4/24 \7,560
■■■:岩波書店 『第九軍団のワシ』 ローズマリ・サトクリフ/猪熊葉子訳 4/17 \882■■■:ウェッジ 『映画と写真は都市をどう描いたか』 高橋世織編 4/上 \1,470 ((20世紀を代表するメディアが捉えた都市の隠された相貌を明らかにする。蓮實重彦、篠田正浩、黒沢清、吉増剛造、港千尋ほか。))
■■■:近代文芸社 『夏目漱石とジャパノロジー伝説』 倉田保雄 4/20 \2,415 ((ロシア富豪の御曹司エリセーエフは東大に入学、漱石の門下生となった。ライシャワー元大使らを育てた「日本学の父」の劇的な人生。))
■■■:慶應義塾大学出版会 『ロシア文学入門』 金田一真澄編 4/上 \2,310
■■■:慶應義塾大学出版会 『アンクルトムとメロドラマ』 常山菜穂子 4/中 \735■■■:講談社 『カナスピカ』 秋田禎信 4/10 \1,575 ((3万年の周回を50年で落ちてきた人工衛星「カナスピカ」。姿は少年なのに埋められない心のもどかしさを知る加奈。ひと夏の少女の成長を描く青春小説。))
■■■:講談社 『愛でしか作ってません』 後藤田ゆ花 4/10 \1,365
■■■:講談社 『灰色のダイエットコカコーラ』 佐藤友哉 4/10 \1,680
■■■:講談社 『紅嵐記(上)』 藤水名子 4/25 \1,890 ((フビライ・ハーンとともに戦った勇者を祖父にもつサカルは、天下一の料理人になることを夢見て大都を旅立つ。躍動する傑作歴史小説。))
■■■:講談社 『紅嵐記(下)』 藤水名子 4/25 \1,890
■■■:講談社 『太宰と井伏 ふたつの戦後』 加藤典洋 4/25 \1,785 ((太宰は、三島は、川端は、戦後、なぜ死ななければならなかったのか。加藤典洋が刺激的に読み解く「日本」の「戦後と文学」。))
■■■:講談社 『誘発者』 飯田譲治 4/19 \1,575 ((ロシアの超能力研究所で不思議な能力を持つ少女と会った直人と直也。日本で大地震が起きることを知った2人は急きょ帰国する。))
■■■:講談社 『ICON バレエの神 ニジンスキー妖像』 芳賀直子文・監修 4/27 \3,150 ((本邦初のニジンスキーの完璧な肖像写真群と、バルビエやモンテネグロら20世紀初頭のアーティストが描いた華やかな舞台画の数々。))
■■■:講談社 『ナショナリズムの由来』 大澤真幸 4/20 \5,000
■■■:講談社 『建てて、いい?』 中島たい子 4/2 \1,260 ((30代半ばの「負け犬女」長田真理は重大な決意をする。それは家を建てること。本当に家は建つのか。『漢方小説』の中島たい子最高傑作。))
■■■:講談社 『大英帝国という経験』 井野瀬久美惠 4/17 \2,415 ((奴隷貿易廃止も、イギリスが「紅茶王国」となり、ミステリーの宝庫となったのも、現在のイラク問題も、すべてアメリカ独立に端を発していた。))
■■■:講談社 『東大駒場連続講義 知の遠近法』 H・ゴチェフスキー編 4/10 \1,575
■■■:講談社 『ナイショでヒミツのクレヨン王国』 福永令三 4/20 \1,050 ((累計500万部を誇る「クレヨン王国」シリーズにまつわるエピソードがたっぷり入った、著者渾身のエッセイ集。))■■■:光文社 『しずく』 西加奈子 4/19 \1,890
■■■:光文社 『聖餐城』 皆川博子 4/19 \1,890■■■:五月書房 『「仮面ライダー響鬼(ヒビキ)」の事情』 片岡力 4/下 \2,520 ((マニアも知らない特撮ヒーロー誕生までのリアルな舞台裏。元制作スタッフが初めて明かす「響鬼」をとりまく意外な真相。))
■■■:コスミック出版 『棚の隅』 連城三紀彦 4/上 \1,300
■■■:集英社 『うわさの人物 神霊と生きる人々』 加門七海 4/26 \1,680
■■■:出版芸術社 『悪魔が来りて笛を吹く』 横溝正史 4/下 \2,100
■■■:東京創元社 『黙示の海』 ティム・ボウラー/金原瑞人ほか訳 4/27 \2,100
■■■:平凡社 『桂東雑記(5)』 白川静 4/9 \1,470
■■■:平凡社 『ボクシングはなぜ合法化されたのか』 松井良明 4/18 \2,520 ((ボクシングの試合中に相手が死亡しても罪に問われないのはなぜか。英国刑法を通じて「スポーツの正当性」とその根拠を明らかにする。))
■■■:平凡社 『増補 可能性としての「戦後」』 桜井哲夫 4/9 \1,365 ((敗戦後、どう日本人は立ち上がったのか。獅子文六、杉浦明平、花森安治。非軍隊的・非権威主義的な戦後文化を問い直した名著。))
■■■:平凡社 『レオナルド・ダ・ヴィンチと受胎告知』 岡田温司 4/9 \1,050
■■■:平凡社 『視覚論』 ハル・フォスター編 4/9 \1,470 ((編者をはじめ、ジェイ、クレーリー、クラウスなどの論者が、視覚と「視の制度」の問題を遺漏なく説く視覚文化論の良質な教科書。))■■■:法政大学出版局 『存在と人間 存在論的経験の本質について』 オイゲン・フィンク/座小田豊ほか訳 4/中 \4,095 ((『精神現象学』の解釈を軸に「存在」と「人間」とを「存在論的人間」概念を介して結びつけつつ、西洋形而上学の理解を試みる。))
■■■:みすず書房 『村上春樹短篇再読』 風丸良彦 4/上 \2,625
■■■:みすず書房 『通り過ぎた人々』 小沢信男 4/上 \2,520 ((井上光晴、小野二郎、藤田省三ら故人となった人々を軽妙なタッチでペーソス豊かに綴る追悼録。戦後日本文学運動の盛衰。))
■■■:みすず書房 『本を愛しなさい』 長田弘 4/上 \2,310
■■■:みすず書房 『劇的な精神分析入門』 北山修 4/上 \2,940 ((精神分析医の著者が、臨床の体験を通して心の問題に迫る。ミュージシャンとしての人生や関心を織り交ぜながら論じる精神分析論。))[新書]
■■■:講談社 『ウルチモ トルッコ 犯人はあなただ!』 深水黎一郎 4/5 \998 ((第36回メフィスト賞受賞作の明快推理小説。))
■■■:講談社 『宴の果て 死は独裁者に』 佐飛通俊 4/5 \840 ((過激な社会主義国からの工作員に拉致されたフリーター。国際的には孤立するこの南方の島国では、密かにある計画が進行していた。))
■■■:講談社 『疾駆する蒼 ブルー』 佐神良 4/5 \998
■■■:講談社 『書物狩人』 赤城毅 4/5 \840
■■■:講談社 『世界でいちばん醜いこども』 浦賀和宏 4/5 \903
■■■:講談社 『妄邪船 人工憑霊蠱猫』 化野燐 4/5 \945
■■■:講談社 『なぜ日本人は劣化したのか』 香山リカ 4/20 \735■■■:集英社 『越境の時 一九六〇年代と在日』 鈴木道彦 4/17 \735 ((『失われた時を求めて』の個人全訳で名高い仏文学者と、李珍宇や金嬉老との意外な関わりとは。))
■■■:平凡社 『モナ・リザは妊娠中?』 中川素子 4/10 \903 ((人類は妊娠・出産、生命の連鎖をどう表現してきたのか。ダ・ヴィンチ、北斎から森村泰昌、バーバラ・クルーガーまでを取り上げる。))