Sound Horizon『Elysion〜楽園幻想物語組曲〜』[amazon]

インディーズでのラストアルバム『chronicle 2nd』が1stの大幅なリメイク、メジャー第一弾Elysion〜楽園への前奏曲〜』[amazon]がベストセレクションの趣があったため、アルバムを通して一本のロマンが語られる純然なオリジナルStoryCDは久しぶりになる。(イメージアルバムリヴァイアサン 終末を告げし獣』[amazon]への参加もありましたが…これは若本規夫の語りがえらく格好いい)
語りを基調とした詠いをシンフォニックにアレンジされたトラディッショナルなメロディにのせるSoundHorizonの十八番は相変わらず。アレンジはドラマティックでも、ロマンをいたずらに壮大にしすぎることなく、楽曲をBird'sTale的なスケールに留めるそのセンスも相変わらず。ファンタシィの肝である“現世と彼岸の際のあやうさ”は吟遊詩人による“伝聞”のフィルタを通してこそ効果的で、そういう部分でSoundHorizonはエッセンシャルな魅力を放ってる。冥きに魅せられてロマンシアに憑かれてしまった人々の物語/極上のロック・オペラ・ファンタシィで、タニス・リーやパトリシア・マキリップが邦訳された今現在じつにタイムリーな贈り物。絶品であることは言うまでもなし。