神林長平

ちなみにマイ・フェヴァリット神林長平は『今宵、銀河を杯にして』[bk1]。不条理でオフビート、どこまでも楽天的でぬけぬけとしたユーモアが堪りません*1。最近の神林長平は理屈くさくてちょっと勘弁してほしい。『言壺』[bk1]なんかに、このオプティミスティックなセンスがあれば絶賛してもいいんですけどね。わざと間違った言葉使いをしたいのに、ワーカム(AI付きの喋るワープロ)が執拗に(くどくどと理屈を並べ立てて)訂正してしまう…というエピソードを皮切りにどんどんとんでもない展開を見せる、“言葉”に振り回される人々のバーレスク…なんだけど、文体が生真面目すぎてノリが悪いのがどうにも惜しいのです。

*1:あと2冊選ぶなら『プリズム』[bk1]、『完璧な涙』[bk1]かな、異郷のロマンにしびれます