ポー、ラヴクラフト、ジョン・ディー等あざといネタを盛り込んだ『ボルヘスと不死のオランウータン』は、事件の謎自体はすぐわかるし、その真相をあからさまに迂回しながら繰り広げられる論議はちょっとしたサロントーク以上のものではないけれど、物語全体が→ ファンレター ←になっているという構成はちょっとほほえましく、orzな内容に似合わない好印象がある。で、ダニエル・ケールマン『世界の測量』を読み始め…ちょ、これめちゃくちゃ面白いんじゃね? ゆっくりじっくり読もう。追記:伏字にした言葉の頭には「悪意の」とつけるべきかもしれない。→ ボルヘスによる返信という体裁で付されたエピローグが作者の手によるものだとすれば、ボルヘスはこの陳腐な結末をつけた責を押し付けられることとなったともいえる。つまり復讐は、無視されてきた作者によってボルヘスに対してなされたものだ、とも考えてみることもできる。この本はさまざまな位相での復讐の迷宮といってもいいのではないかしらん ←…ということをここを読んで考えたりもした。