■■■:新潮社 『東京島』 桐野夏生 5/- \1,680
■■■:新潮社 『バーデン・バーデンの夏』 レオニード・ツィプキン/沼野恭子訳 5/- \1,995
10年ほど前スーザン・ソンタグがロンドンの書店で見つけ「最も崇高で独創的ですぐれた20世紀小説のひとつ」と絶賛したロシアの長編で、
ドストエフスキーに捧げられたオマージュだという『
バーデン・
バーデンの夏』はもちろん買う、もちろん訳者買いでもある。で、フランク・ティリエを2冊とも読んだ。『タルタロスの審問官』といい『七匹の蛾が鳴く』といい、サディスト・
アンダーグラウンドを舞台として黙示録的な意匠とわずかな超自然をフレー
バーとして取り入れているところなど、
X-FILESのスタッフが作った猟奇事件捜査ドラマの傑作シリーズ“ミレニアム”に熱中したころのことを思い出させてくれて満足できる。ただ読後はむしろ、主人公の警視フランク・シャルコの余裕のまったくない自棄的行動をめでるのが本筋なのかとも思う。そういう意味では
西村寿行のハードロマンと近しいのかもしれない。BGMはやっぱり(Downward Spiralまでの)
nine inch nailsで。