ビーケーワンより


角川書店 『壁抜け男の謎』 有栖川有栖 4/- \1,680 
■■角川書店 『半島回収』 矢作俊彦 4/- \1,260 
縮小営業中。早川書房の4月分は『トールキンのガウン』と『嘘発見器よ永遠なれ』のノンフィクション2つを注目したい。あ、今月の『あなたに不利な証拠として』『アゴールニンズ』(『ドラゴンがいっぱい!』に改題)といい来月の『バースト・ゾーン−爆裂地区−』(←グロ傑作)といいハヤカワも早めの文庫化を進めてるんですかね? それから【集え】文学板―情報―スレッド 2【文殊】で4月の文庫情報を眺めていると、ロマンス色が強い作品と癖が強い作品を併売することでオレ的に有名な3本柱→扶桑社海外文庫&ヴィレッジブックス&ランダムハウス講談社→のランダムハウス講談社文庫が時代小説にも手を出すらしい。そしてそこにシバレンのあの『運命峠』の名が!!…さてエンリーケ・ビラ=マタス『バートルビーと仲間たち』をケタケタ笑いながら読んでいる。自分の文学的価値観のために書くことができなくなることを“バートルビー症候群”と呼び習わし、自らもその症状に陥ってしまった一人の作家が、自分の現状の代弁として古今東西の“バートルビー症候群”の症例を引いていき、それによって“書くこと”の意義を浮き彫りにする…という小説ではあるのだけど…これちょっと間違えばって言うかちょっと間違わなくても(笑)、ひとりのニートが、働かないことの弁明と慰撫のための権威として、その裏づけをしてくれる実例と理屈を求めて現代思想/現代文学のカッコいい言葉を漁っている…ようにも読めてしまうところがおかしくて、おもしろい。