【集え】文学板―情報―スレッド 2【文殊】より


河出書房新社 『死都ゴモラ――世界の裏側を支配する暗黒帝国』 ロベルト・サヴィアーノ/大久保昭男訳 1/17 \2,520 
河出書房新社 『蒸気駆動の少年』 ジョン・スラデック/柳下毅一郎訳 -/- \1,995 
河出書房新社 『スチュアート』 アレキサンダー・マスターズ/清野栄一訳 -/- \1,680 
河出書房新社 『福袋』 角田光代 -/- \1,365 

:春秋社 『合理性の諸問題』 ドナルド・ディヴィドソン/金杉武司、塩野直之訳 12/下 ¥- 

水声社 『小説の楽しみ』 小島信夫 11/28 \1,575 
水声社 『書簡文学論』 小島信夫 11/28 \1,890 
水声社 『想起の空間――文化的記憶の形態と変遷』 A・アスマン/安川晴基訳 11/- 

東京大学出版会 『死と誕生――ハイデガー九鬼周造アーレント』 森一郎 1/中 \6,090 

東北大学出版会 『ハイデガーにおける循環と転回――他なるものの声』 後藤嘉也 -/- \3,675 

ようやく、待っておりましたのだのジョン・スラデック。『想起の空間』はいつか買うかもしれないという覚悟は定めておこうね←オレ。で、SFマガジン書評欄で沢村凛『黄金の王 白銀の王』が出ているのを知ったのでさっそく読む。沢村凛の登場人物はみな自分の価値観にとらわれて融通のきかなくなっている“カタブツ”ばかりで、しかも成長とか改心とかいわゆる物語上のカタルシスを生むための“嘘くさい”倫理的転向とはまったく無縁の卑近な者たちで、しかし彼らが打算と妥協を重ねひとつの理想的な状況を作り出していくその緊張感は、安易な成長というファクターを廃しているが故のリアルさをもって伝わってくる。そこがいつもながらすばらしい。同じ戦記路線の『瞳の中の大河』やトリッキーな大傑作短篇集『カタブツ』ほどではないと思うけれど、でも面白かった。