【集え】文学板―情報―スレッド【文殊】より


朝日新聞社 『犬身』 松浦理英子 10/5 \- 
あと10月の文庫情報もちらほらと。講談社学術文庫の『アルチュセール全哲学』と丸山圭三郎、ハヤカワのフィニイ復刊2冊がめぼしいところかな。で、バート・ウォード『四つの雨』を読む。貧者弱者に対する心療という理想を認められたいものの、世間は厳しく懐は寒く、場末の酒場でバンドをやってうさをはらしながら、日々の生活に汲々とするそんなある日、ヴォーカル募集でやってきた女に一目ぼれ。脈ありっぽいけれど距離が縮まらない…そのわけを聞けば「あたし金のことで苦労するのはもう本当にいやなの」と。どこか童貞臭すらただよう下流インテリの成れの果て、50男のうら悲しさをユーモラスなコメディタッチで書いており、そしてそれは血の雨の降る凄愴な第4の章まで変わらない…いやあこれは笑うに笑えないよ。そしてその顔が引き攣るような絶妙さがすばらしい。