本やタウン:書籍近刊情報より


[単行本]
岩波書店 『世阿弥の中世』 大谷節子 3/23 \8,400 ((古代から中世へと伝承された膨大な知の集積を、世阿弥はいかに変容させて自らの能の世界を確立したのか。))

角川書店 『舞台芸術』 3/31 \2,100 ((京都造形芸術大学舞台芸術センターが企画・編集する定期刊行誌。本号は、ジャン・ジュネ「恋する虜」公開セミナーなど。))

講談社 『ごめんね、ボーイズラブ』 後藤田ゆ花 3/15 \1,365 ((ボーイズラブ出版最大手が倒産。雑誌と自分達を引き受けてくれる会社を探しはじめた社員たちが遭遇する受難と恋。BL業界内幕と「腐女子」の青春。))
講談社 『儀礼オントロギー 人間社会を再生産するもの』 今村仁司/今村真介 3/20 \1,995 
講談社 『京都の平熱 哲学者の都市案内』 鷲田清一 3/20 \1,785 ((名所・旧跡は多いが歴史意識は薄い。自然そのものより技巧・虚構に親しむ。オモロイものを好み町々に三奇人がいる。古都と気質のからくり))。
講談社 『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず』 北康利 3/29 \1,890 

:光文社 『夏休みの狩り』 又吉栄喜 3/19 \1,890 
:光文社 『水上のパッサカリア』 海野碧 3/19 \1,890 ((過去を秘めた男の静謐な日常は、長くは続かなかった。第10回日本ミステリー文学大賞受賞作。驚嘆すべき新鋭、堂々のデビュー。))

講談社出版サービスセンター 『戦争をくぐり抜けたおかっぱ少女の ごきげんようパリ』 福岡澄子 3/中 \1,680 

集英社 『救済の彼岸』 朝倉祐弥 3/5 \1,680 ((女は耳馴れない語を口にした。「アダウチです」。身に覚えのない「仇討ち」の標的となった孤独な男。「異議申し立て」の最終期日は、明日。))
集英社 『千年樹』 荻原浩 3/26 \1,680 ((1,000年という長い時間を生き続ける1本の巨樹の生と、その脇で繰り返される人間たちの生と死のドラマが、時代を超えて交錯する。))
集英社 『天皇の誕生 映画的「古事記」』 長部日出雄 3/5 \1,680 ((シナリオ形式で表現することで、その実像がイメージ豊かに立ち上る。画期的な論考を織りまぜ、神武天皇の婚姻までを描き、天皇誕生の謎に迫る。))

春風社 『黒人差別と国民国家 アメリカ・南アフリカ・ブラジル』 アンソニー・W・マークス/富野幹雄ほか訳 3/上 \6,500 
春風社 『小林秀雄ウィトゲンシュタイン』 中村昇 3/上 \2,625 ((ウィトゲンシュタインを経由することで浮かびあがる、小林秀雄の知られざる核心。気鋭の哲学者が明かす、言語哲学者としての小林。))

思文閣出版 『夏目漱石における東と西』 松村昌家編 3/上 \2,940 ((漱石の小説に織り込まれた西洋的概念と東洋的概念の葛藤、直接影響を受けた小説との比較など、気鋭の文学者たちによる漱石文学論。))

祥伝社 『新釈 走れメロス 他四篇』 森見登美彦 3/14 \1,470 ((『走れメロス』ほか誰もが知っている名作短編を現代の京都に蘇らせて5本収録。気鋭が放つ古典的名作リミックス集。))

出版芸術社 『八つ墓村』 横溝正史 3/中 \2,100 ((凄惨な殺人、巧妙なトリック、錯綜する人間関係。横溝ワールド全開の一大長編作。「父・横溝正史を語る」「懐古録」など豊富な資料群。))

世界思想社 『国際構成主義 中欧モダニズム再考』 谷本尚子 3/下 \2,415 
世界思想社 『アメリカ研究の理論と実践』 佐々木隆監修 3/下 \2,310 
世界思想社 『ベンヤミンの迷宮都市 都市のモダニティと陶酔経験』 近森高明 3/下 \2,940 ((ベンヤミンのテクストの再解釈をつうじて、「観察者」と「陶酔者」のはざまに、精神分析と都市論の理論的接合を試みる意欲作。))

筑摩書房 『グールドのシェーンベルク』 グレン・グールド/鈴木圭介訳 3/中 \4,200 

文芸社 『妄想少女 「彼」依存症』 高橋ヒカル 3/1 \1,365 ((現代の一少女の衝撃的エッセイ。衣食住、家族の愛情に恵まれて育ちながらも足りない何かをかかえ、生きるために得た力は、「妄想力」。))

平凡社 『増補 私の見た明治文壇(2)』 野崎左文 3/9 \3,150 
平凡社 『もうひとつのルネサンス』 岡田温司 3/9 \1,680 
平凡社 『宗教と現代がわかる本2007』 渡邊直樹編 3/16 \1,680 ((養老孟司中沢新一小林よしのりなど、アカデミズムとジャーナリズムから宗教と現代の問題がわかる執筆陣が勢揃いした年鑑創刊。))

法政大学出版局 『暴力と和解のあいだで』 尹慧瑛 3/下 \2,940 ((イギリスによる植民地支配と数10年におよぶ紛争で社会が分断された北アイルランドという「場」に根ざして和解をめぐる問題を考える。))
法政大学出版局 『江戸・王権のコスモロジー』 内藤正敏 3/下 \3,675 

北海道大学出版会 『創像都市ペテルブルグ 歴史・科学・文化』 望月哲男編 3/中 \2,940 ((ピョートルによって「ヨーロッパへの窓」として開かれ、多彩な側面をもつペテルブルグを、歴史・科学史・文学などから読み解く。))

本の雑誌社 『笹塚日記 ご隠居篇』 目黒考二 3/下 \1,680 

雄松堂出版 『エミリ・ディキンスン事典』 J・D・エバーウェイン編/鵜野ひろ子訳 3/2 \16,800 

[新書]
:近代文芸社 『女性という神話 文学に読み解く「男女共同参画」の罠』 藤井繁 3/下 \1,050 

講談社 『「格差論」に踊る阿呆に見る阿呆』 真壁昭夫 3/20 \840 
講談社 『百年前の私たち』 石原千秋 3/20 \777 ((男女交際法など、今となっては顧みられることのない数多のハウツー本類=「雑書」にクリアに映し出される大衆の原像を犀利に分析。))

:光文社 『読書の腕前』 岡崎武志 3/16 \735 

集英社 『何も起こりはしなかった 劇の言葉、政治の言葉』 ハロルド・ピンター/喜志哲雄編訳 3/16 \840 

文藝春秋 『戦争指揮官リンカーン アメリカ大統領の戦争』 内田義雄 3/20 \903 
文藝春秋 『甦る海上の道・日本と琉球』 谷川健一 3/20 \未定 

平凡社 『「はかなさ」と日本人』 竹内整一 3/9 \819 

グールド再掲、図書館でお世話になってた『グレン・グールド著作集』や発言集も、いっそこれを機に買ってしまおうかと考えてるオレがいる。『小林秀雄ウィトゲンシュタイン』『ベンヤミンの迷宮都市』『創像都市ペテルブルグ』『江戸・王権のコスモロジー』あたりもマストで。小説では森見登美彦の古典リミックス、長部日出雄、そして「最小単位のコミュニズムの最大値への模索的実践場」と「神秘的/個人的であったはずの“体験”が群態としての人間的存在の中で本質を全体主義のシンボルへと歪められながら静止不可能なベクトルに昇華してしまったひとつの芸術運動」を対峙させることによって「ベルリンの壁の崩壊」の意味/意義を裏返してしまった(とぼくが解釈するところの→)『白の咆哮』の朝倉祐弥の新作を注目しておきたい。