e-honもうすぐ出る本の予約より


早川書房 『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳 3/8 \2,000 
モラルの失われた世界に対する幻滅と絶望、それでもなお理想郷を求め信仰の域まで達したかのような騎士道精神に殉じる青臭い若造のロマンティシズムとしてフィリップ・マーロウを捉えたとき、清水俊二訳によって“不当”といってもいい達観を身につけさせられたマーロウは、少なくともぼくにとってはあまりにダンディすぎてて食いづらいというのが本音だったりする。どうせなら一人称を“ぼく”にしてくれても、というかそうしてくれたほうが、どちらかといえばしっくりくるんだけどね。