電子文庫パブリ

吃驚した。角川文庫で出てた山田風太郎がずらりとそろっていて魂消た。甲賀など忍法帖の初期作品は言ってみれば超人同士のガチンコで、どちらかといえば行く先の見えない物語を楽しみたいぼくにとってはあまり好みではない。好みで言うならば、女ッたらしと口先三寸だけが取り得の香具師七人組が(風太郎作品の特徴である聖女)麻也姫とかかわってしまうことで百戦錬磨の風摩忍者三人と死闘を繰り広げることとなる、壮絶なおかつどこかとぼけた明朗さとラストの切なさとがどうしても忘れがたい風来忍法帖』[bk1]を断然推すのではあるけれど、確固たる歴史の流れを強引に解体して奇なる構築へと作り変えてしまった忍法帖物後期の『妖説太閤記』『海鳴り忍法帖』『天の川を斬る(銀河忍法帖)』『忍びの卍という傑作群も山田風太郎のひとつの極みであったと思っている。『妖説太閤記』[bk1][bk1]は近年復刊され喝采をあげたのだけれど、『忍びの卍』が読めないというのはいかにも惜しいとしか言いようが無く、このたびの河出文庫での復刊の2期以降(1期3冊)に予定されていると2chを見てて心躍らせていたのだけれど、いやはや電子文庫とは畏れ入りました。