陰山琢磨『星々のクーリエ』[朝日ソノラマ/ソノラマノベルス][bk1]

先日ちょっと紹介したときは「まぁ序盤だから設定を開陳するためにガジェットを盛りだくさんにしてるんだろうな」とか思っていたのだけれどとんでもない、もうハナからケツまで頁単位で次々に新たにガジェットを盛り込んできて、しかもそれがストーリィ進行を妨げることなく、いやむしろストーリィを加速させていくように次から次へと盛り付けてくる、例えればメガテクノロジー椀子蕎麦状態だ。士郎正宗APPLESEED』を、情報量/情報密度をそのままにノンストップアクションエンターテインメントノベルに仕立てたらこんな風になるだろうか。いやはや堪能しすぎてお腹いっぱい、舞台が軌道エレベータとなれば付き物といってもいいアレがラストに待ち受けてるし最高! なんか久しぶりにウォルター・ジョン・ウィリアムズの『ハードワイヤード』『必殺の冥路』*1を読み返したくなったりしましたね。

*1:SF史上でも屈指のムーヴメントであったサイバーパンクアジテーションのさなかに、そのスタイリッシュなガジェットだけを流用して純粋エンターテインメントへと換骨奪胎してしまった傑作で、アクションSFのフェヴァリットを数えるときには絶対欠かせない作品