仁木稔『グアルディア』[ハヤカワSFシリーズJコレクション/早川書房][bk1]

ウィルスの蔓延で壊滅した文明、異形と化した人類、秩序復興の途上に乱立する組織のパワーゲーム、遺伝子改変による変異体…生体甲冑、不老長生のメトセラ、短い寿命がくると自らの分身を懐胎する生体端末と世界復興の帰趨を握る知性機械サンティアゴ。それらをエキゾチックな言葉遣いで語られるとなれば、否が応でも(ぼくがいまだに続編の翻訳刊行を待ち望んでやまない)テクノゴシックの異形の怪作、エリザベス・ハンド『冬長のまつり』が思い出される。徹底的に耽美の衣裳をまとったハンドのゴシックに比べれば『グアルディア』はむしろ怪物めいた人物たちの愛憎劇、つまりテクノゴシックロマンスに傾倒していて実に読み応えがありまる。もう少し過剰なところがあれば絶賛したかもしれない。ゴシックは均斉がみだれてたほうが美しいのですよ。