いつのまにかT・R・ピアソン『甘美なる来世へ』[bk1]が出版されてる! 『愛の見切り発車』(柴田元幸)を読んだときからちょいと興味を惹かれてたのですよ。この本の中で柴田氏がピアソンを紹介した際、『甘美なる来世へ』*1を引用・翻訳しているのでちょっと抜粋↓。
ややあってバーニス・フェイ・フレイジャー嬢が前週火曜日に丸ごとの若鶏がビッグ・アップルで一ポンドあたり特価四十七セントで売られていたことを思い出しあたし一羽買ったんだけどどうせなら二羽買っとけば良かったわと語り、アスキュー夫人がその鶏美味しかったのと訊ねたのでバーニス・フェイ・フレイジャーはええ美味しかったわと答え今度はエステル・シングルタリー夫人があたしは三羽買ったのよと発言しそれを聞いてバーニス・フェイ・フレイジャー嬢も考え直し、あらああたしも三羽買っとくんだったわと宣言した。アスキュー夫人は鶏を買っていなかったし買っておけばよかったという気持ちはあったけれども具体的に何羽の若鶏を買えばよかったか特に願望を設定することはせず代わりに食物の話題からなるべく逸脱せぬようにと某雑誌で読んだ観賞用縮緬キャベツの利用法に関する記事の要点を詳細に語りだそうとした矢先、タイニー・エアロン氏が路上に駐車した真っ白なインパラの窓から顔を出し痔の手術ならあたしも一九六二年にやりましてねと言い出して…(新潮文庫『愛の見切り発車』p280)
どうやらえんえんこの調子らしい。  あなた買います? (笑)
ところでこの文体、最近の舞城王太郎とどこか似てません?*2

*1:紹介時は『甘美なる来世へ向かって』

*2:かまし蓮實重彦という気がしないでもない