あぁ、やっぱり『8』(キャサリン・ネヴィル)は面白いのです。パラパラめくるだけのつもりだったのにじっくり読むはめに。
『8』は過去パートと現代パートに分かれてて、過去パートは [これ]とか[これ]みたいな話(笑)。キーアイテムを"宇宙を動かすほどの力を秘めたチェス・セット「モングラン・サーヴィス」"に、時代を"18世紀末フランス革命期"に置換すればそれほど間違いではない、と思…。要は西洋伝奇小説で、このチェス・セットにかかわってジャン・ポール・マラーナポレオンエカチェリーナタレーランワーズワースブレイクルソーなどそうそうたるメンバーが登場してきます。革命期の動乱とあいまってモングラン・サーヴィス争奪戦となる過去パートはめっぽう面白い。現代パートは謎解き&散逸したチェスセットの探索で、過去パートと比べると少し見劣りするかも。ラストが弱いのを除けば相当楽しめます。神秘思想の骨格をそなえ、ハーレクィンもどきの冒険小説の衣装をまとった、現代版「鏡の国のアリス」!とは、SFマガジン誌上で1991年の海外SFベスト3を選ぶさい、『8』を2位にあげての野阿梓氏のコメント*1。うん、なるほど。

*1:ちなみにこの年の1位にあげているのは『ミステリー・ウォーク』[bk1]、復刊バンザイの泣ける傑作