2008-11-01から1日間の記事一覧

リン・ディン『血液と石鹸』

基本、タブロイド誌の一コマ漫画みたいにゲラゲラ笑いながら読み飛ばすユーモア&アイロニーではあるけれど、懐は思った以上に深い。異語によって書かれた辞書と、そこに書かれている言葉の意味を理解しないままに辞書を解釈して悦に入る(外部と隔絶された…

マリー・ンディアイ『心ふさがれて』

原因のわからないままに迫害される中年女性の物語は、どこか村上春樹を思わせるところがないではないけれども、もっと切実で、もっと手がかりを持たない。あからさまに物事の因と核の描写を避けつつも暗示することは忘れず、結果すらあいまいに放擲しつつも…